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「出会いと挑戦を力に、自分の道を広げていく」〜活動の幅を広げ続けて20年の心ときめく歩きかた〜

今回お話を伺ったのは、アスレティックトレーナー・コンディショニングトレーナーとして幅広く活動されている畦山与里子さんです。

女子ラグビーチーム「ナナイロプリズム福岡」ではチームトレーナーとして帯同し、選手のケアやコンディショニングを担当するほか、競技現場だけでなく、一般の方へのパーソナル、ピラティス、ヨガ、SUPNESS®︎(サップネス)、海辺セッション、大学や専門学校では非常勤講師として授業を担当するなど、教育の分野にも活動の場を広げています。

さらに最近では、アスリート同士が交流できる場として「ATHLETES COMMUNITY CAMP」を立ち上げ、競技の枠を越えて、多競技のアスリートやサポーターがつながり、それぞれの可能性を広げていくコミュニティづくりにも取り組んでいます。

さまざまなフィールドで人と向き合いながら活動を続ける畦山さん。その歩みの中で大切にしてきた「心ときめく歩き方」について、お話を伺いました。

探し求めていた「心ときめく仕事」との出会い

小さい頃から、父が高校の陸上部の顧問をしていたこともあり、部活動に一緒について行くことがよくありました。合宿では学生たちと一緒に走ったり、ストップウォッチを押したり、カレーを作ったりすることもありました。父が運転するバスの助手席に座って遠征に行くこともあり、スポーツの現場がとても身近にある環境で育ちました。

中学・高校ではバスケットボールに打ち込み、毎日練習に励んでいました。ちょうど進路を考える時期になった頃、「スポーツに関わり、アスリートを支える仕事がしたい」というイメージから、理学療法士の学校への進学を考えていました。

そんな中、高校2年生のときに練習で膝を捻挫してしまいました。松葉杖をついて学校へ行くと、男子バスケットボール部に帯同していたトレーナーの先生が声をかけてくれました。「病院では軽い捻挫と言われたんですけど、すごく痛くて…」と話すと、「ちょっと見せて」と言われて膝を確認されました。そして、「これは軽い捻挫じゃない。前十字靭帯断裂の可能性が高いから、もう一度きちんと検査をしたほうがいい」と言われたのです。

その後、改めて検査を受けたところ、実際に前十字靭帯断裂と診断されました。そのとき、高校生ながら「この方は只者じゃない!」と思ったことを今でも覚えています。その先生は、県内でもアスリートが多く通うスポーツ整形に勤務されていました。リハビリに通い先生とお話しするうちに、「アスレティックトレーナー」という資格をもたれていることを知りました。進路を考えていた私にとって、「これがスポーツ現場で、一番アスリートをサポートできる道だ!」と気づき、「これだ!」と直感的に感じました。

先生から、ちょうど久留米大学にアスレティックトレーナー養成コースができたことを教えていただき、私はすぐに進路を久留米大学に書き換えました。振り返ると、この膝がきっかけで今の仕事を知ることになりました。痛い経験ではありましたが、「私の膝に感謝」という気持ちです(笑)。

気がつけば、この道を歩み始めてもう20年近くになります。アスリートと関わる現場にいるときは、自分の中から自然とエネルギーが湧いてくるような感覚があります。それぞれ高い目標に向かって努力しているアスリートの姿勢に自分自身も前向きな力をもらっているのだと思います。

現場で活動を続ける中で、「自分がいるべき場所を選んだ」という実感は年々強くなってきました。だからこそ今でも、「この道を選んでよかった」と心から思っています。

トレーナーとしての経験が繋ぐ「次の挑戦」

トレーナーとして多くのアスリートと接してきたからこそ、競技に向き合う姿勢や、人としての魅力を間近で感じてきました。競技は違っても、同じように高い目標に向かって努力してきた選手同士が出会えば、きっと大きなエネルギーが生まれるのではないか。

そんな思いから、競技の垣根を越えてアスリート同士がつながり、互いの経験や価値観を共有できる場として「ATHLETES COMMUNITY CAMP」を立ち上げました。

キャンプでは、専門家のもとで合同トレーニングを行ったり、さまざまなテーマで学びあったり、自然の中でのチームアクティビティを通して交流を深めたりしています。

身体を動かす時間だけでなく、みんなで食事を共にし、焚き火を囲んで語り合う時間なども大切にしながら、さまざまな形でアスリートやサポーターが関わり合える場を定期的につくっています。

アスリートたちは、スポーツを通して本当に多くの力を身につけています。目標に向かって努力を重ねる力、仲間と協力する力、自分の役割を理解してチームに貢献する力、そして、逆境に負けない精神力や前を向く力。そうした力は、競技の中だけでなく、社会の中でも大きな価値を持つものだと思っています。

ただ一方で、スポーツに打ち込んできたからこそ、「競技で培ってきた力を、社会でどう活かせるのだろうか」と不安を抱える選手も少なくありません。だからこそ、キャンプの中では競技の中での葛藤やセカンドキャリアについての悩みについて話す時間も大切にしています。

同じ競技でなくても、アスリート同士だからこそ通じ合う感覚がありますし、違う競技だからこそ新しい視点のアドバイスがもらえることもあります。自分のチームでは言いづらいことも、ここでは話せる。そんな安心感のある空気が、自然と生まれていると感じています。

これからは、企業や地域にもアスリートの持つ力を伝えながら、競技で培った経験が社会の中でも活かされるような関係づくりにつなげていきたいと考えています。そのためにも、まずはアスリートたちが安心して集まり、自分の経験や価値を見つめ直せる場所を育てていくことが大切だと感じています。

ずっと温めてきた構想でしたが、去年の6月に第1回を開催し、現在は一緒に動いてくれる方々と協力しながら、少しずつ形にしています。人との出会いや流れを大切にしながら、この場をどう育てていくのか。そこに、これからの楽しみと次の挑戦を感じています。

一歩踏み出すと見える、新しい世界

ある時、仕事の関係で引っ越しを考えることになり、直感的に選んだのが、海の近くの土地でした。知り合いもいない土地でしたが、「せっかくなら、この場所で新しく何か仕事を始めてみたい」という思いがふと湧いてきました。海という環境を活かして、トレーニングやコンディショニングと結びつくようなことができたら面白いのではないかと考えたんです。

そこで何気なく「海 スタジオ ピラティス レンタル」とネットで検索してみると、「海スタジオ 来月オープン」という情報が目に入りました。「これは運命かもしれない」と感じて、すぐに電話をかけました。するとトントン拍子に話が進み、翌日にはスタジオへ行くことに。気がつけば社長と4時間ほど話し込んで意気投合し、そこから、はじめはピラティスやヨガのグループレッスンを担当するようになりました。

数年後には海でのレッスンも始め、その後は、水上のような揺らぎを再現した専用ボードの上で行うトレーニングプログラム「SUPNESS®」の開発や普及にも携わるようになりました。

最初はゼロから、試行錯誤しながら動きを考え、音楽に合わせてオリジナリティも大切にしながら効果を引き出すトレーニングプログラムをつくっていきました。そこからマスタートレーナーとして指導者育成にも関わる機会をいただき、さまざまな経験を重ねることができました。

ただ、昔からこうした行動力があったわけではありません。20代の頃は、講習会のあとの懇親会なども、何を話していいのか分からず苦手で、講習だけ受けて帰ることもよくありました。でも、自分で仕事をし始めてから、人とつながることでチャンスをもらえたり、新しい視点が増えたりする経験を重ねてきました。

今いるフィールドから一歩踏み出すと、それまで見えていなかった世界が見えてきて、必ず何かしらの気づきがあります。そしてその気づきが、また次の一歩につながっていく。その連続なのだと思います。

いろいろな出会いの流れの中で、自分も巻き込まれながら、時に周りも巻き込みながら進んでいく。そうやって試行錯誤を繰り返しているうちに、人と話すことや、新しい場所に出向くことが楽しいと思えるようになりました。

そして、その流れの中で生まれるワクワクする感覚が、自然と自分のルーティンになっていったのだと思います。

これはトレーニングにも似ていると思っています。同じルーティンだけを続けていると、身体も心もその刺激に慣れてしまいます。だからこそ、いつもと違う動きや環境、人との出会いの中で得られる「感覚的な刺激」は、自分にとって大切な栄養のようなものだと感じています。

いつもと違うトレーニングをしてみる。普段会わない人に会ってみる。行ったことのない場所に行ってみる。そうした未知の体験を少しずつ自分の中に取り入れていくことが、「心ときめく歩き方」をする上で大切なのではないかと、わたしは思います。

95歳まで現役で」トレーナーが描くこれからの未来

私にとってトレーナーの仕事は、運動指導の技術を提供することだけではありません。

その人が今どんな状態にいて、何に悩み、どこへ向かっていきたいのか。身体を通してその人の人生や日常に関わり、よりよく過ごすためのお手伝いをさせていただくことが、この仕事の本質だと感じています。

身体が整うことで気持ちが前向きになったり、人との出会いによって新しい視点をもらえたりすることがあります。身体を動かすことは、そのきっかけのひとつであり、そこから会話が生まれ、仲間ができ、自分の可能性に気づくこともあります。

だからこそ、これからは運動指導だけにとどまらず、身体を整えることをきっかけに、人が自然と集まり、安心して挑戦できる場づくりにも力を注いでいきたいです。

アスリート、地域の人、企業や社会。それぞれが出会うことで、新しい学びや可能性が生まれる。そんな場を少しずつ育てながら、人と社会を健康的につなぐ役割を担っていけたらと思っています。

最終的な目標は、95歳まで現役でいることです。きっかけは、祖母の姿でした。祖母は90歳まで公文教室の先生を続けていて、「本当に90歳ですか?」と言われるほど姿勢がきれいで、とても優しく、強く、魅力的な人でした。仕事を続け、人とつながり、自分の役割を楽しんでいる人は、こんなにも元気でいられるのだと感じました。

私も年齢を重ねても学び続け、感覚を磨き続けながら、長く人に寄り添える自分でいたいです。そのためには、自分自身も動ける身体と逆境に負けず前を見て楽しめる心を持ち続けることが大切だと思っています。

これまでトレーナーという仕事を通して、たくさんの人と出会い、関わらせてもらってきました。そのつながりをこれからも大切にしながら、目の前の人によりよく寄り添い続けていきたい。

そして、祖母を少しだけ超えるつもりで、95歳までは現役でいたいと思っています。

そう考えると、まだまだ人生の折り返しにも来ていません。焦らず、でも歩みを止めずに、自分自身の身体と心も整えながら、この仕事と場づくりを長く続けていけたらと思っています。

あとがき

行動力と、それを形にしながら周りを巻き込み前へ進んでいく求心力。その両方を強く感じる取材となりました。心からときめく仕事に出会ったときのワクワクする気持ちは、大きな原動力となり、自分自身を高めていくだけでなく、その熱量が自然と周囲の人にも伝わり、新たな出会いや仕事へとつながっていくのだと感じました。

さまざまな現場で活躍されるパワフルな姿の背景には、これまで積み重ねてきた経験や人との出会いがあり、そのストーリーを知ることで、読者の皆さんにとっても、一歩踏み出す勇気や、新しい出会いを楽しむきっかけとなることを願っています。貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。