青年海外協力隊(JICA)坂本翔大さん

Selamat siang !! (こんにちは!)
Nama saya Shodai Sakamoto !(私の名前は坂本翔大です!)
青年海外協力隊、サッカー隊員としてインドネシアのマカッサルという地域で活動しています。
今回、縁あって記事を書かせていただくことになりました。よろしくお願いいたします!

【経歴】
2019年3月 福岡県立筑紫高等学校卒業
2019年4月 福岡大学入学
福岡大学サッカー部入部(~2021年12月引退)
アビスパ福岡サッカースクールアシスタントコーチ(~2023年5月)
2022年1月 福岡大学附属大濠高校サッカー部コーチ(~2023年6月)
2022年4月 MIFAサッカースクールアシスタントコーチ(~2023年6月)
2022年6月 JICA海外協力隊2022年春募集に応募→10月に合格通知を受け取る。
2022年7月 福岡県成年国体コーチングスタッフ
2023年3月 福岡大学卒業
2023年7月 福島県で派遣前訓練(~2023年9月)
2024年1月 青年海外協力隊サッカー隊員としてインドネシアに派遣
2024年2月 マカッサルで活動開始

なぜ、海外で活動する道を選んだのか。

なぜ私は今の道を選んだのか、一番の理由はものすごくシンプルで、
「ワクワクしたから」です。

私の大学4年間は経歴にも入れさせていただきました通り、大学や部活動を離れて活動する場を数多くいただきました。これも今考えると、自分がワクワクしたものを選んだ結果こうなったと思います。

そこでたくさんの大人の方々、選手たちからチャレンジ、失敗、学びの機会をいただきました。幼児から大学生までの幅広い層を対象に、サッカーを支える立場で活動し、巡回型サッカー教室やイベント、少年院でのブラインドサッカー教室等にも参加させていただきました。この4年間でのチャレンジ、失敗からくる気づきや学び、たくさんの出会いがなければ僕は今、日本にいたと思います。

そこで出会った私の周りにいた方々は、偶然にも、海外に出たことのある方ばかりでした。本当に偶然。その方々からたくさん聞かせてもらった話の中から、一つ紹介したいと思います。

居酒屋ドリンクメニューを指しながら、
「翔大、ビールしか知らなかったらビールの中からしか選べないし頼めないよ。翔大はまだ日本酒のことも焼酎のこともウイスキーのことも知らない。だからもっとたくさんのものを自分の目で観て、耳で聴いて、肌で感じるために外に出たほうが良いよ。まだ若いんだし。いろんなお酒を頼めるように。」

これはただお酒の話をしているのではなく、世界のことを例えての話です。
多分ですが、きっと、この話の後、この方はいつも通り寝ていたと思います。

当時の私は、海外で生活や活動するということが頭の中に一切なかったので、「そうですよねぇ」なんて言いながら深くは考えていませんでした。

大学入学前から教員を目指していた私は大学4年の春まで教員採用試験の準備をしていました。しかし、勉強しながら「あまり楽しくないなぁ」、「面接で志望動機を聞かれたとき、自信をもって答えられるものがないなぁ」と感じていました。そんなとき、僕の友人が放射線技師になるための勉強を楽しみながら、夢中になってやっている姿を見て、自分を振り返ったときに、「これって自分が本当にやりたいことじゃないのかもしれないな」と思い始めました。

偶然このタイミングで、コロナ禍で一時中断中だった【JICA海外協力隊】の募集が再開し、サッカーコーチの要請があることを確認しました。

JICAと福岡大学は2015年に連携協定を結んでおり、2020年東京オリンピックまでの5年間、サッカー部と野球部から数名ずつ約一か月間ボリビアに派遣されていました。そのため、4年生の先輩方がボリビアで活動しているのを見ていましたし、私にもチャンスがあれば参加したいなと考えていました。(私が大学2年時に終了したので参加できませんでしたが、現在それも再開したのか、今年、サッカー部から数名ボリビアに派遣されていました。羨ましいです。)
そのため、JICAの存在やどのような活動をするのかはもともと知っている状態でした。

JICAの募集が再開したのは大学4年の春。
これなら自分にもできる。
自分が海外でサッカーコーチとして活動することを想像すると、心の底から「ワクワク」しました。
その瞬間に、本当にその一瞬で、僕は教員採用試験の準備を全てやめました。

JICA海外協力隊に応募することを決め、2022年6月末に書類選考、9月に人物面接と技術面接を受け、10月25日に合格通知を受け取り、2023年7月~9月に福島県で行われた派遣前訓練を経て、ワクワクと少しの不安をもって1月にインドネシアに派遣されました。

「人との出会い」と自分の心の底から湧き出てきた「ワクワク」が僕をインドネシアに連れてきてくれたと思います。

インドネシア生活半年が経過した現在は。

任期は2024年1月9日から2026年1月8日までと限られており、この2年間をどう使うか。
自分の目で観て、耳で聴いて、肌で感じて。サッカーに関わる人としても、一人の人間としても成長して帰る。そんな2年間にすると決めました。

派遣されてすでに半年が経過しました。とても早いです。

自分が大好きなサッカーで、海外で生活・活動することと、どんな選手、コーチに出会って、どんな2年間になるか、どんな景色が見られるか、ワクワクをもってスタートしました。

ワクワクして、ときめいていたもの。

しかし、実際に始まってみると、そのポジティブな感情をずっと持ち続けることもなかなか難しいのが現実です。うまくいくときもあるし、うまくいかないときもある。うまくいかない期間を早く脱出するときがあれば、その期間が長く続くこともあります。

自分が思っていた以上にうまくいかないし、自分が思っていた以上に苦しむことがある。
同時に、自分が思っていた以上に自分にもできることはあるし、自分が思っていた以上に毎日考えさせられること・感じることがあります。

言葉も文化も考え方も感覚も習慣も違う人たちと共に生活・活動する。理解することが難しいこともあるし、理解されるのが難しいこともある。日本にいたときはほとんどなかったですが、腹を立てることもたくさんあります。

語学もまだまだで、インドネシアの文化や人についても知らないこともまだまだたくさんあります。

でも、だからこそ、毎日がチャレンジと失敗の連続です。
会話することひとつ。この単語で、この言い回しで伝わるかな?
バスに乗ることひとつ。どこから乗れるんだ?乗ったはいいけど、どうやって降りるんだ?
買い物することひとつ、レストランで注文することひとつ。
選手たちとの関わり方ひとつ、コーチたちとの関わり方ひとつ、生活することひとつ。

これまでの常識が通用しない毎日で、この2年間は苦しくもあり、楽しくもあり、自分が何に対してどのような感情を抱き、何を大切にしているのか、自分のことを知る2年間にもなりそうだなと思っています。

まだ半年なのでこれからもどんどんいろんな種類のいろんな大きさの壁にぶち当たりながら過ごすことになると思います。そんな状況をも楽しみながら、前向きに捉えながら、毎日小さな積み重ねを続け、焦らず、我慢強く、一歩一歩進んでいこうと思います。

2年後以降、どのように歩んでいくか。

任期終了後、どこでなにをするかは正直まだはっきりと決めているものはありません。

しかし、これまでの日本での活動や現在のインドネシアでの活動を通して、サッカーやスポーツが持つ可能性を身をもって感じさせられてきました。

スポーツは、「する人」、「見る人」、「支える人」たちの心を動かし、感動や勇気を与え、苦しみや悔しさを共に感じ、それらの感情を互いに共有することができます。

年齢や性別、国籍、障害の有無、裕福さなどに関わらず、すべての人にサッカーやスポーツを通してハッピーを届け、自身の人生を豊かにできる人を増やしたいと思っていますし、それができると思っています。

小学1年生からサッカーを始め、サッカー選手になるという夢がありましたが、高校生のときに自然と諦め、そのまま自然と先生になるという夢なのか目標なのかわからないものに向かっていました。しかし今は、サッカーやスポーツで、一人でも多くの人に、少しでも多くのハッピーを届けるという夢ができました。

私は、この夢に向かってこれからも人との出会いを大切にし、自分の心の声に耳を傾け、心の底からワクワクする道を選んでいき、チャレンジし続けます。

終わりに

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

新卒でサッカーコーチとして海外に挑戦し、何ができるのか、もしかしたらそう見ている人もいるかもしれません。

この2年間が終わるころ、僕の配属先のチームの選手やコーチ、それを取り巻く環境、インドネシア全体が少しでもいい方向に変わる。それが僕たちボランティアが発展途上国で活動する一番の目的だと思います。

しかし、僕個人の意見で言うと、極論、この2年間でなにも成果もなく、大失敗してボロボロになって任期を終えてもいいなと正直思っています。(もちろんそれが前提ではありません。)2年もの間、インドネシアにいて何もできなかった。そこで感じた悔しさや経験を2年後以降の自分のステップにできるのであればそれでいいと考えています。すべて捉え方次第で、自分次第だと思います。常にチャレンジし、失敗から気づき・学び、次へのステップに活かす。子どもも大人も、どの国の人も、どこにいても、サッカーも人生も同じだと僕は思います。そんな風にこれからも生きていきます。

これを読んでいただいた方にとって、少しでもなにかのきっかけになれたらいいなと思います。

ありがとうございました。

≪JICA海外協力隊について https://www.jica.go.jp/volunteer/ ≫